<よりぬき>rennyの備忘録

投信ブログ「rennyの備忘録」の<よりぬき>を試験的に。過去、沢山のアクセスを頂戴したエントリを気ままにPick UP!

誰ですか、こんな記事書いてるのは。

昨日は金曜日ということもあってなのか、新大阪からの新幹線が混んでいて普通指定席が取れなかったのでエキスプレス予約のポイントを使ってグリーン車に乗車しました。グリーン車の社内では、ビジネス情報誌WEDGEが各座席で読むことが出来ます。また「ご自由にお持ち帰りください」ということなのですが、普段ポイントを使ってグリーン車に乗るときはパラパラと目を通すだけです。また荷物になるので持ち帰ったりはしません。 しかし、今月号(11月号)はスゴイ記事が掲載されていたので持ち帰ってきました。 そのスゴイ記事とは 悲惨な運用実態の裏で「売れや売れや」の大合唱 "大人気"株式投信に影落とす銀行・証券の儲け主義 という投信関連でblogを書いているボクにとっては、大注目の記事です。 記事は3ページにわたって掲載されています。 何がスゴイか、と言いますと 極めてミスリーディングなうえに、勉強不足じゃないの?って内容だからです。

記事の内容をご紹介しましょう。

最近多くの投信が設定されているがパフォーマンスはTOPIXなどのベンチマークを下回っている。最近設定された投信だけでなく1996年以降設定された投信を調べてみると、ベンチマークを下回る投信が圧倒的多数。


ということを非常に自信満々に記事は説明しています。しかし、アクティブファンドの多くは市場平均に勝てない、という事実は随分前から知られている事実であり、大発見!のような書き方をしているのを見てビックリしました。

さらに記事は続きます。

このパフォーマンスが芳しくない理由は、運用の体制が整っていない(たとえばある銀行系の運用会社は1人のファンドマネジャーが5本の投信を運用している)からだ。このような運用体制にもかかわらず、銀行・証券などの金融機関は個人投資家にこんな商品をドンドン売りつけようとしている。とりわけ銀行は、貸し出しが伸び悩み、投資銀行業務でもパッとしない、それゆえこの投信の窓販のフィー獲得に躍起となっている。


後半の部分は指摘している点は当たっている面もあるのでしょうが、アクティブファンドのパフォーマンスが冴えない理由は運用体制だ、と決めつけているところに、さらにビックリです。
また、信託報酬についても説明しているのですが、「1.5%が平均的」という指摘があるだけです。信託報酬が高い、これを削減できれば、なんて指摘は全くなし。
「運用体制をしっかりしますから信託報酬を上乗せします」と運用会社が言ってきても「仕方あるまい」と返事してしまいそうな調子です。

そして、記事の最後に(よせばいいのに)個人投資家に対してアドバイスをしています。
これがまた驚きです。

1.投信を購入する場合、
  運用期間の実力を調べること、買う前に類似ファンドの成績を店頭で聞けばよい。
  なぜ運用が下手だったのか。失敗の原因は何か。
  販売会社や運用会社が合理的な説明をできれば、少なくとも信頼できる。
2.投信以外の選択肢として、ETFの購入。
3.上記2つ以外の選択肢、優良な個別銘柄の購入。(トヨタソニー、キャノン・・)


ここで一番仰天したのは、このアンダーラインの部分でお分かりの通り、インデックス投信のことがまったく考慮に入っていない、ということです。インデックス投信を飛ばして、次にETF。もう少し勉強してくれよ、って感じです。そのうえ勢い余って個別銘柄を推薦するとは脱線にもほどがあります。「分散投資」を否定しているわけです。

この記事を最初から最後まで読んでも1万円から投資できるインデックス投信の存在を知ることはできません。この記事の論調だと、運用の担当者が何人もいて後付けの説明に時間をしっかり取ってくれる信託報酬の分厚いアクティブファンドがオススメですよ、とさえ受け取れます。
「銀行憎し」ということで書かれた記事だとは思いますが、個人投資家にとってメリットになるような内容は乏しいと言わざるを得ません。せめてもう少し知識を持った記者が書くべき記事ではなかったでしょうか。正直お粗末極まりない、と思います。

この記事の注目はもう一点。囲みコラムで分かったことですが、日興AMが株式公開を考えているそうです。運用会社には独立性が大事だ、ということらしいのですが、利害関係者がさらに広がることについてはどのように考えるのでしょうかね。