<よりぬき>rennyの備忘録

投信ブログ「rennyの備忘録」の<よりぬき>を試験的に。過去、沢山のアクセスを頂戴したエントリを気ままにPick UP!

産業としての資産運用業におけるパラダイムシフト

最初にお断りしておきますが、纏まったオチがつくかどうか不安です。あくまで備忘録的な内容ですのでご容赦ください。 ボクはあるクラブに参加しています。I-OWAという企業が運営をサポートされている、クラブ・インベストライフというクラブです。2ヶ月に1回程度のペースで開かれるセミナーへの無料参加、毎月の会報誌が年間10,500円です。ここ最近、仕事の都合でセミナーは参加できていませんが、何度か出席したセミナーはなかなか勉強になりました。 毎月の会報誌ですが、30ページほどの冊子ですが各編集委員執筆のコラム、座談会など読み応えがあります。当然のことながら広告は一切掲載されていません。したがって、個別の金融商品が推薦されることも基本的にはありません。 この会報誌の11月号のなかで、印象的な表現がありました。編集委員の速水禎さんのコメントです。速水さんが「なぜファンドマネジャーになったのか」という問いに対しての答えです。 日本の資産運用業界はものすごく大きいインダストリー(産業)になる、とも感じていたんだ。 というものです。 この速水さんのご意見には共感を感じますが、果たして現状のままで、日本の資産運用業界は大きな産業となるでしょうか? 今週の週刊ダイヤモンド(12月2日号)では、『「投信」の罠 』という特集が組まれています。この特集からは、投信の残高が急激に増えたことが伝えられています。しかし、これをもって産業としての役割を果たしているか、というと全く違うと思います。56ページから如何に投信のコストが高いか、が実例で試算されています。ほとんどのケースにおいて投信を保有することで追加に負担するコストに応じて資産は増えていません。つまり、現在の資産運用業の多くは、およそ産業とは言い難いのが実状だと思います。
産業としての資産運用業を捉えるには、そのサービス・商品が利用者に対してどれだけ便益を提供できるか、という点が最も重要だと思います。その点でサプライヤーが切磋琢磨するのが普通の産業の姿です。ところが、今の資産運用業は如何に利用者から気づかれないように手数料を取るか、という視点で商品開発、商品提供を行おう、としているように映ります。
資産運用業が産業となるためには、大きなパラダイムシフトが必要になってくると思います。投資家・需要家の視点からの大転換です。これが起こらない限り、産業への脱皮は不可能のように思います。
この大転換を引き起こすのは、投信業界に競争促進策の導入を!のエントリで指摘しましたように、独立系の投信会社がより参入しやすい制度・手続が一つだと思っています。
一方で、投資家・需要家の意識も重要です。当然のことではありますが、客がサービスに厳しく接することでサービス・商品の質が向上します。その点、当Blogでリンクを貼らせて頂いているブロガーの皆さんは、ボクと同年代の方が多いようです。これらの意見が厚みを増していくことで投資家・需要家の意識がドンドン高まっているのを最近強く感じています。投資家の意思表示として有効なのは粗悪な商品を買わないことなのですが、だからといって品質を向上した商品が提供されるわけではない、ということが今の日本の資産運用業界の最大の問題だと思います。
独立系の投信会社がより参入しやすい制度・手続が整備されて、投資家の意識が高まった時、日本の資産運用業は大きな成長産業になると思います。
逆に言えばそうならない限り、産業とは呼べないのではないでしょうか。