<よりぬき>rennyの備忘録

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板倉雄一郎さんのオープンセミナー(その2)

前回の続きです。 このセミナーの2コマ目が板倉さんの講演です。 初めて、生の板倉さんを拝見して肉声をお聞きしました。軽妙な語り口とアタマの回転の早さを感じました。ご自身の考えが完全に血となり、肉となっているからこそでしょう。

「投資」とは?、
「価値」と「価格」の違い、
企業とは、「モノ」ではなく、多くの関係者を巻き込み価値創造する「仕組み」、
などの考え方を冒頭に非常に分かり易く説明されました。
特に、企業は「仕組み」である以上、企業は誰のモノという議論自体がナンセンスだ、という見方について再認識することができました。

そして、次に如何に「価値」を測るかという「唯一」のモノサシとしてDCF法を説明されました。説明の後に、具体的な投資の実例を挙げてエクセルを用いて演習を行いました。参加者の皆さんが熱心に取り組まれていたのが印象的でした。

この次に価値創造とは何か、という考えが説明されました。
投下資本収益率が資本コストを上回っている状態を「価値創造」、
投下資本収益率が資本コストを下回っている状態を「価値破壊」、
つまり、調達コスト以上に収益が発生しているか、を見る必要がある、という説明でした。価値創造を継続的に行う企業を、「価値」に対して割安で取得できれば保有し続ければ良い、ということを強調されていました。
「価値」と「価格」で印象的だったのは、「企業の本質的価値が正確に把握できるとすれば、利益を手に入れる(確定するのは売却時ですが)のは『その株式の取得時』」というお話は、「なるほど!」と納得しました。

最後に簡易的な企業価値の算定方法をご紹介されて、アっという間の3時間が終わりました。板倉さん自身、「エッセンス」をお話します、と冒頭に言われたのですが、まさしくその通りか、と思いました。今回のオープンセミナーでは、企業価値算定で最も重要になるであろう将来のキャッシュフローの予測法、そして、株主資本コストの設定、という極めて重要な部分について、具体的なコメントはほとんどありませんでした。おそらくこの辺のテクニック、方法論が合宿セミナーで色々と紹介されるのではないか、と想像されます。

もちろん、今回のセミナーだけでも十分に満足できる内容(内容は基本的ですが、基本的なだけに極めて大事)でしたが、合宿セミナーにこそ本当の「武器」が用意されているのではないでしょうか。

で、ボクは合宿セミナーに参加するのか? という点ですが、残念ながら当面見送ります。将来のキャッシュフローをどのように予測するのか、株主資本コストの考え方、非常に関心はあるのですが、考える材料が今回のセミナーであらためて把握できたので自分で色々と勉強してみたい、と思います。

最後に、合宿セミナーの参加者に若い人が増えてきているそうです。若い人が多くこうした考え方を身に付けていくことは、日本の将来には大きなプラスのように感じます。

全くこういう考え方に馴染んでいない人にとっては、25万円の「価値」はあるように思います。