<よりぬき>rennyの備忘録

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個人投資家イニシアチブによる超格安インデックス投信!?

空色さんのブログでのコメントからの流れです。 空色さんの御提案は 1)個人投資家の出資を募り投信会社を設立 2)その投信会社が自社で直販し運用するオープンエンド投信を設定 3)投信の投資対象はインデックス連動型ETFとする。 と理解しています。(違っていたら、御指摘ください) ここで設定される投信の信託報酬を0.15%程度に抑えれば、 巷に売られているインデックス投信(0.5%程度が最低)よりも保有コストが遥かに低くなるということになります。 このアイデアは良いアイデアだと思っていますが、 ボク自身、具体化はかなり大変だと思っています。 空色さんからは、
「rennyさんはどの辺が問題だと思いますか?」というコメントがありましたので
以下回答してみたいと思います。

1)のステップ、つまり、会社を設立することは特段難しく無い、というのは御指摘の通りかと思います。しかし、この会社はペーパーカンパニーというわけにはいきません。経営者が必要です。
実は、これが一番の問題だと考えています。どんな会社、事業であろうと、経営者の質次第というのがボクの持論です。

仮に首尾良く1,000億円の規模のファンドになったとして(さわかみファンドは6年掛かっています)、投信会社の年間収入は0.15%の信託報酬で年間1.5億円。
この水準まで達すれば(達するまで大変でしょう)年間の運営コストは賄えるようになるのでしょうか。仮に賄えたとしてこの水準まで達するまでの経営者の苦労・努力は並大抵のものではない、と思います。
そうした苦労を厭わず、資金を確保し、仕組みを作り、コストをかけずファンドの普及に努めて、という経営者が果たしているのか、ということです。

また、ファンド規模=1,000億円でやっと採算が合うということであれば、それまでの赤字を補填し続けるための資本が必要です。銀行その他からの融資は期待できないでしょうから株主資本で賄うことになるでしょう。となると、そこまでの資本を個人投資家の出資で手当てできるのか、という問題もあります。
もとより、投信業務の認可のための最低資本金(5,000万円)をクリアする必要があります。

次の問題として、ファンド規模がドンドン成長したケースです。
ファンド規模が1兆円まで達した場合、投信会社の収入は年間15億円となります。
こうなると赤字に苦しんでいた投信会社は大きく黒字になる可能性があります。
その場合、どのように利益分配するのか、という面で調整が必要になるでしょう。
信託報酬を下げる、ということになれば良いのでしょうが、話はそう簡単でしょうか。
投信会社を設立する際にリスクマネーを投じた個人投資家の中には、投信会社からの利益分配を求める人もいるでしょう。経営者・従業員もこれまでの苦労にボーナスを、と主張するかもしれません。

最後の問題は調整可能ではないか、と思いますが最初の二点は結構大変な問題であると考えています。
+経営者の問題
個人投資家で調達できる金額のサイズの問題

また、最近では状況が変わっているのかもしれませんが、さわかみファンド設定の時、当局との折衝、信託銀行探しなど相当苦労されたようです。(このあたりは、さわかみファンド1,000億円達成記念誌に詳しく紹介されています。)
既存の金融機関からの色々な攻撃も想定しておくべきでしょう。また、インデックスファンドの場合運用内容で差別化することが事実上不可能ですから、他社との競合も考えられます。もちろん、売り手として美味しい商品ではないことから無理に客を奪いに来ない可能性も十分考えられます。贅肉の多い大手金融機関系の運用会社ではコスト勝負はできないでしょうし。

難しい面を色々並べましたが、このアイデアが実現不可能とは思いません。
むしろ、ワクワクしてきました。